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顎関節症3つのタイプと原因
当院ではかみしめ症候群を骨格アライメント異常の見地から、次の3つのタイプに分類しています。
猫背型
胸椎の後彎がひどく、見た目上、猫背になっているタイプ。頭部の重心が胸椎より前方にあり、頭部の重さを支えるため、僧帽筋や脊柱起立筋、咬筋群が過緊張した結果、かみしめが引き起こされるようになります。肩こり、頭痛、首こりなどの症状や、胸郭出口症候群のように腕のしびれや痛みなどの上肢の症状を併発していることもあります。頸椎の前彎カーブは多くのケースで保たれています。
男性より女性に多い傾向であり、要因としてデスクワークでのPC作業やスマホなど、悪姿勢での長時間動作などが引き金になる場合もあります。
体軸位置ズレ型
頸椎の中心軸と頭蓋骨の中心軸に位置ずれが認められるタイプ。頚椎正面(開口位)のレントゲン写真における第二頸椎(軸椎)の歯突起と鼻中隔のラインに注目すると一目瞭然ですが、頚椎の回旋方向と逆の方向に鼻中隔のラインがあり、頭蓋骨と頸椎間で大きく位置ずれを起こしているタイプです。何をしないでも頸部痛や頭痛を認めたり、下を見たり上を見上げるような動作に伴う痛みを強く認めます。痛みのため顎を開けにくく、食事すること自体が辛くなっていることもあります。
かみしめ症候群の3タイプの中で症状が一番重いのはこのタイプで、じっくり治療する必要があります。
高筋緊張型
日々の何気ない生活習慣のなかでも、かみしめの習慣や力んでしまう習慣があり、僧帽筋や胸鎖乳突筋、咬筋群に強い筋緊張を認めます。その結果、TCH※の状態となり、顎関節周囲の筋緊張が増悪し、症状が現れます。
※TCH(tooth contact habit:上下歯の接触癖)
骨格アライメント異常としては、上記2つに比べると程度は軽いですが、頚椎の前彎カーブはなくストレートネックとなり、逆カーブ(逆くの字)となっていることもあります。
原因が「顎関節」にはないかみしめ症候群・顎関節症は意外と多い
かみしめ症候群・顎関節症は、かみしめにより顎関節や顎関節の周囲に機能的な異常としての痛みなどの症状が起きた状態ですが、多くのケースで顎関節自体には形態学的な異常は認めません。
① 「顎(アゴ)が痛む」
② 「口が大きく開けられない」
③ 「顎(アゴ)を動かすと音がする」
など顎関節の周囲にある症状を主としていますが、顎関節そのものには異常を認めないことが多いのです。
顎関節そのものに異常がある場合は、その原因として、慢性関節リウマチや外傷のよる大きな衝撃(例えば、殴られた、交通事故にあったなど)による関節の変形・硬直、先天的な異常による関節の左右差などがあり、手術や矯正など侵襲的な外科的治療が必要になりますが、顎関節そのものに異常があることは稀です。
顎関節には異常がなく、頭蓋骨や頸椎の骨格アライメント異常がある!
骨格アライメント異常に原因がある場合
かみしめ症候群や顎関節症の原因は、顎関節そのものに異常はないものの、多くの症例で、顎関節の位置ずれや噛み合わせのずれを認めます。顎関節の構成要素である上顎骨と下顎骨は、上顎骨は頭蓋骨そのものであり、下顎骨は頭蓋骨にぶら下がった付着物となりますが、様々な筋群が付着し頭蓋骨と頸椎との間で支えています。そのため、頭蓋骨や頸椎の間で位置ずれ(骨格アライメント異常)を認めると、上顎骨は頭蓋骨そのものですから頸椎との関係の中で位置ずれをし、また下顎骨は筋緊張により本来の正しい位置からはずれてしまうようになります。その結果、顎関節の位置ずれやかみ合わせのずれを認めるようになります。
頭蓋骨や頸椎に位置ずれを認めますので、頸や肩の筋肉のこり、頭痛や耳鳴り、めまいなどの付随する症状があわせて引き起こされます。
歯科的な治療方法は、マウスピースで症状を抑えたり、歯を削ってかみ合わせを変えたり、筋弛緩薬や抗うつ薬、向精神薬などを使用するなど、様々なアプローチがおこなわれています。
しかし、原因を特定せずに治療をするため、治療効果がある患者様とそうではない患者様に分かれてしまい、また歯を削ったり抜くなどの不可逆的な治療を行ったにもからわす症状が改善しない患者様の場合は、元の状態に戻すこともできず新たな治療方法を探し続けることになります。
また、かみしめ症候群・顎関節症を患っている方の多くに「かみしめ」を認め、「かみしめ」はTCH(tooth contact habit:上下の歯の接触癖)が関係し、顎を使う間違った習慣や使い方が症状に大きく影響を及ぼすと考えられています。
そんな中、当院ではかみしめ症候群・顎関節症の原因として考えられている要因の※ほとんどが「骨格アライメント異常」にあると考え、治療を行っています。そしてまた、「TCH」」も顎関節の周囲筋群の過緊張に要因があり、過緊張してしまう要因を求めていくと、「骨格アライメント異常」にあります。
※顎関節症に対する矯正などの歯科治療歴がある例や、かみ合わせに大きな異常がある場合は歯科的原因がありますので、当院と提携している井出デンタルクリニックを受診してください。
骨格アライメント異常とは
骨格アライメント異常という言葉は聞きなれない言葉かもしれません。
当院では、痛みやしびれ、様々な不快な症状を認める方は、体に本来備わる正常な機能が発揮されていない状態にあると考えており、このような患者様には必ず骨格アライメント異常を認めています。かみしめ症候群や顎関節症を患っている方に関してもこれが当てはまります。
※顎関節そのものに変形・奇形等の異常がある方は除きます。
かみしめ症候群・顎関節症で悩んでいる方の多くが、こめかみ(側頭筋)やあご(顎舌骨筋・顎二腹筋)やほっぺた(咬筋)の筋肉に疲れ(筋疲労)を感じていますが、これは頭蓋骨や頸椎の骨格アライメント異常により顎関節に位置異常がある状態で無理に使い続けたことによっておきた結果と考えることができます。
特に、側頭筋、顎舌骨筋・顎二腹筋、咬筋の緊張の原因に、頭蓋骨や頚椎の位置異常(骨格アライメント異常)が関係すると考えられます。骨格の位置異常は骨格アライメントドック(詳しくはこちらをご覧ください→リンク)による診断が必要になります。骨格アライメント異常は、正しい診断のもとに治療をしていきますと、骨格の位置異常とおもに関節の可動性が改善していき、その結果、痛みやしびれなどの不快な症状が消失していきます。